世界史への挑戦
長年アメリカインディアンのことに首をつっこんでいます。そこで彼らがどこから来たかというと、従来からの説はベーリング海峡から徒歩でやって来たという。これは完全におかしい。そう思っているうちにこの本に出くわしたと思ってください。私は現在、アメリカ大陸のことはすでに紀元前に地中海の人間は知っていたとの結論に達している。その証拠が数多くあるからです。ところが中国人もどんどんやってきているのですよ。それはこの本が明らかにしており、私は中国人アメリカインディアンがいても全然不思議でないと思っている。しかしながら、鄭和の探検だけがそのすべてになるというとちょっと無理がありますな。中国人はもっとそのずっと古代から米大陸を知っていたらしいですからね。
琉球の船が新大陸に???
1492年にコロンブスがアメリカ大陸を「発見」したなんて、欧米人の傲慢な態度に辟易する方にはうってつけのこの一冊。特に興味を惹くのは、前書きにある「・・・鄭和の航海に随行した日本や琉球の船は、ヨーロッパに先駆けて新大陸に到達していたのだ。」という部分。いやぁー、驚きます。でも・・・ホントでしょうか?
教科書に書かれた歴史が真実とはいえない
社会人になると、学生の時ほど猛烈に読書を体験しなくなったが、時に自分が歴史の教科書で習ったはずの「事実」が覆る学説が登場していることがあり、驚嘆させられることがある。立花京子さんの『信長と十字架』もそうだし、この1421もそう。科学史家のクーンのいうパラダイムの転換を肌で感じます。この本の主張は、コロンブスの新大陸発見に先立つ1421年には、永楽帝の命を受けた宰相宦官鄭和の艦隊によって、世界地図が既に完成していた。マゼランたち大航海時代のヨーロッパ人たちは、中国人の作成した地図を既に持ってて航海を行っていたと主張します。歴史の事実や中国の当時の技術レベルや遺跡の発掘によって、ほぼこの事実は証明されるでしょう。時代を感じますね、倣岸にも世界の主人公だと嘯く英米からこういう主張が出てくることは。ただ同時に、これほどの大偉業をほとんど抹殺してしまった中華帝国の『歴史』に対する感覚も、また凄いなと感心してしまいました。 興味深かったのは、著者のギャヴィンさんは、英国海軍の潜水艦の元艦長だそうです。専門的な知識を持つ職業人の体験と知見からは、地図の読み方が、机の上でものを考える歴史学者とは、かなり異なるという証左なようです。その道の専門家が、ちゃんとかんがえると歴史は捏造されている部分も凄く多いのかもしれませんね。
ヨーロッパ人が中国人を讃える壮大な歴史ロマン
この本の結論は1421〜23年、 永楽帝の命を受けた鄭和の艦隊の指揮官たち−洪宝、周満、周鼎−が、 それぞれ別ルートで世界一周を果たし、帰国後、その成果を 南北米、南極、オーストラリアその他まで描かれた 非常に正確な「世界地図」としてまとめた、というものです。 だから、アメリカ大陸やマゼラン海峡、南極の発見などは、 コロンブス、マゼランといったヨーロッパ人の手柄でなく、 鄭和艦隊ひいては中国人の栄誉に帰すべきだ、と主張しています。 さらに例えば、「マゼランはマゼラン海峡の書かれた地図を 最初から持って航海に出た」と大胆な推測がちりばめられています。 著者は、世界一周の証拠として、 世界各地に残る中国起源の文物をあげています。 しかし、それらすべてを鄭和艦隊に帰するのは無理があります。 宋〜明の数百年は「中国の大航海時代」。 長い時間の中で、伝播していったものとみるべきでしょう。 ただ、自分たちが世界史の主役だ、と主張してきた ヨーロッパ人が、こういう本を書いたのは興味深いこと。 当の中国は、改革開放で新たな勃興期真っ盛り! 内容もさることながら、 欧米人にとっては、非常にタイムリーに登場した本、 ということで話題を呼んだのでしょう。
埋もれた海の帝国!
最近では、コロンブスもマゼランも 今まで歴史上発見者と言われてきた人物の業績が 決してそうではなかった、ということが 明らかになってきている。 この本に書かれていること全てが 事実そうであったかということについては これからの実証的研究が待たれることだが そういう屁理屈は別として 大変知的興奮に満ちた書であることは間違いないであろう。 近年とみに注目を集める中国だが 歴史上ほとんどの時間、文明のトップに君臨し続けた、 文字通り5000年の帝国であり、 ヨーロッパだのは片田舎に過ぎなかったのだ。 その埋もれた海の帝国の姿を蘇えらそうとする試みには 大変興味をそそられる。
ソニーマガジンズ
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